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ごとうしずお水墨画油彩画展

2011.07.12.12:27

  ギャラリーで取り扱っている書籍
  「小伝 弥勒先生」(井口幸久著・西日本新聞社出版)にて
  弥勒先生と、数多いお弟子さんの中うち、ある一人の方との
  エピソードが綴られています。
 
  少し長くなりますが、ここに引用してみますので
  お付き合い下さい。
        

        
           「教えないのが良かった」

    弥勒先生が制作している姿をじっと見ていた人物がいた。
   「何か、骸骨んごたる人間を描いちゃった」
   宮崎市の画家・後藤静雄さんは、当時三十三歳。
   弥勒先生との出会いが人生を変えた。後藤さんは、西都市の
   豊かな農家の生まれである。ところが、父の死をきっかけに環境は一変した。
   保証倒れで、田畑、山林、家も失い、小学校三年生のときから母と二人、
   かつて自宅だった家の納屋に暮らした。

    弥勒先生が三納中に勤務していたとき、後藤さんは生徒だったが
   先生は覚えていない。アルバイトに追われ、ほとんど学校に行かなかったのだ。
   中学を卒業すると、後藤さんは名古屋の鋳物工場で働いた。(中略)
   宮崎に戻ったのは二十七歳である。たばこ配送の仕事で弥勒先生の
   自宅近くを通るたびに車をとめてその仕事ぶりを見ていたのである。
  
    画材を買う余裕はなかった。それでも後藤さんは絵が描きたかった。
   後藤さんの仕事が終ると、二人は毎日のようにスケッチに出かけた。
   神楽、桜、サーカス・・・・・。個展会場もめぐった。

   「先生が筆を買ってくれやったつよ。三千円のやった。キャンバス、
   絵の具・・・・・。どこに弟子の画材を買ってくれる先生がおりますかな」   

    後藤さんが絵に行き詰っても、弥勒先生は何も言わなかった。
   「隣で音がすっとよ。その音が、頑張れ、頑張れと言われちょるごつ聞こえて・・・・」
    絵筆を走らせるときに“ザッザッ”と画布をこする音である。 
   弥勒先生は黙々と絵を描き続けた。忘れられぬ一言もある。
   民家があり、鯉のぼりが泳いでいる絵を描いていたときだった。
   「後藤さん、空気を描かんといかんですよ、と言われて、
   えらく考え込んだがー」
   家々の内にある暮らし、鯉のぼりを泳がせた親心・・・・・。目には
   見えないが、そこを描かねばならないと師は教えた。
   「寝るヒマがあったら描きなさい」とも。

    一年後、後藤さんは県美展最高賞の特選に輝いた。
   宮日展でも三年連続で特選を受賞、無鑑査となった。
         (中略)
   同展の無鑑査は、物故者を含めて二十九人。師弟で無鑑査になったのは、
   弥勒先生と後藤さん以外にない。
   「こちらも習うちょらんかい、描き方を教えんかったですな。
   それが良かったつよ。最初に誰かの枠にはめられたら、なかなか
   抜け出せんかいよ」・・・

  

  ギャラリーでは今週から、墨彩・油彩画の個展が始まりました。
  主催は後藤静雄さん。
  本に登場する弥勒先生のお弟子さん、その人です。

  文中にもあるように、宮崎県の画壇で初となる師弟揃っての無鑑査という
  偉業を成し遂げた方です。

  が・・・絵が好きで好きで
  時間さえあれば、いつでもどこでも画帳を広げる無邪気さは・・・

  鉢植えをスケッチ
  これまた、師の弥勒先生譲りでしょうか。

  しかし作風となると、師の明るい色使いとは違った
  なんとも胸に迫る、強烈に郷愁を掻き立てる
  色彩が画上を覆います。

 
  街の一隅 「街の一隅」

  我ふるさと(西都市三納) 「我がふるさと 西都市三納」

  先ほどの著作から再び引用を― 

    「苦労したからでしょうな。後藤さんの絵には、
     悲しさが潜んじょります。それが人を引きつくっとですな」
 

  後藤さんの絵画展、残すところあと一週間となりました。
  素晴らしい作品と、その人柄にぜひ触れてみて下さい。
 

 ごとうしずお墨彩・油彩画展:H23年7月5日(火)~7月17日(日)  
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Author:ギャラリーしんとみ
ギャラリーしんとみはH17年6月にオープンしました。

この施設は、絵画・書・陶芸・工芸などを広く出品していただき、鑑賞の場・情報交換の場としていただくほか、お茶を飲みながらおしゃべりの出来る休憩所としてもご利用していただきたいと考えております。

現在は町内外の多くの方に出展・ご来場いただいています。


児湯郡新富町富田1丁目15番地

0983-33-0577

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